諧玄文学 / Nonsensophy

第8話

『まだ生まれていない老人の手紙』

読了目安:90秒

郵便受けに、百年後の自分から手紙が届いた。封筒は古びていたが、切手には来週発見される予定の鳥が描かれていた。本文には「こちらでは、未来がようやく絶滅しました」とだけ書かれていた。差出人の住所を調べると、それは現在まだ建設されていない墓地だった。私は返事を書くことにしたが、未来の自分に何を尋ねればよいのかわからず、ひとまず「そちらの天気はどうですか」と書いた。三日後、返事が届いた。「天気はもうありません。代わりに、人々が毎朝少しずつ季節になります」。続けて「私は先月から秋を担当していますが、落ち葉の数が合わず、上司に叱られています」と書かれていた。私は妙に安心した。百年後にも上司がいるのなら、人類はまだそれほど遠くへ行っていないのだろう。それからしばらく文通が続いたが、ある日を境に返事が途絶えた。最後の手紙には、震える文字で「明日、私は生まれます」とあった。その翌朝、庭の隅で小さな老人が芽を出していた。水をやると、老人は静かに首を振り、「まだ早い。今日は昨日にしてください」と言った。

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