流転

名詞 るてんsaṃsāra

流転(るてん、梵:saṃsāra)とは、すべてのものが留まることなく移り変わり続けること。世界の基本状態であり、逃れるべき運命ではなく、存在がそれによって保たれている流れそのもの。

一般的な定義〔通説〕

とどまることなく移り変わってゆくこと。仏教では、生死を繰り返しながら迷いの世界をさまよい続けること(流転輪廻、梵:saṃsāra)を指し、そこからの出離(還滅)が修行の目標とされた。「諸行無常」は仏教の根本命題である。

流転と動的平衡

流転は、「動的平衡(どうてきへいこう)」を東洋の側から観た語である。 川は一瞬も同じ水ではないのに川であり続け、生命は細胞が入れ替わり続けることで個体を保つ。西洋科学が動的平衡と呼んだこの構造を、仏教は二千五百年前に諸行無常と呼んだ。 変わり続けることは崩壊ではなく、存在の保たれ方である。固定した実体がどこにもないからこそ、逆説的に「本質」だけが残る。

流れに逆らうでも、流されるでもなく、流れそのものになる。