アート

名詞 あーとArt

アート(art)とは、自然と不自然を同居させる行為。またはそれについての洞察。感情・思考・創造性を形にする自己表現であり、それによって人間全体の集合的輪郭コロニー理論)が広がる。

不自然について

人が意図的に創作する以上、不自然さが発生する。不自然なもの、すなわち本来の自然界には存在しないものや概念を知覚する時、人は「違和感」を覚える。この違和感こそ、アートの本質だと考える。得体の知れないものは独特な注意を惹きつけると同時に、この未知性・ミステリアス性は世界に対する視野や想像力、可能性を広げることに繋がる。 一方で、ここで定義される「自然」とは、もともと自然界に存在するもの、すなわち数億年の歴史において我々生命が触れてきたものであり、そこから抽出された要素は、ポジティブな印象や感覚を立ち上がらせる。

この自然性こそ「美」の正体であり、本能的な快楽をもたらす生命へのインセンティブである。 したがって、アートは「不自然なものに自然な美を織り交ぜることで、(脳科学における)報酬系をハッキングした行為」と捉えることもできる。

人が介在しないアート

人はしばしば、自然物や他の動物がつくり出した造形に「アート」という言葉を当てはめる。

自然界には本来アンシンメトリーな現象が多く存在するが、そのなかに自然法則によって生じる端正な形が現れると、人はそこに一種の「違和感」を覚える。この違和感がこそが、人が創るアートの不自然性と通じる感覚を呼び起こすのだと考えられる。

デザインとアートの区別

デザインとアートは、いずれも「何かを生み出す」創造的な営みであり、しばしば混同されたり、対比して語られることが多い。ここでは、〈人間社会における〉デザインとアートについて、それらを区別するための一つの視点を提示する。

デザイン(design)

自分以外のための営み。 だれかを助けたい、救いたい、楽にしてあげたい、といったような「マイナスをゼロにする」行為から、だれかを楽しませたい、喜ばせたい、幸せにしたい、といったような「ゼロをプラスにする」行為まで網羅的に含む。社会的な貢献や他者との関係性に根ざしており、その性質上、職業(対価をもらう仕事)として成立しやすい。この定義に基づけば、誰かの役に立つために働いている人はすべて、広義の“デザイナー”と捉えることもできる。また、人間以外の動物や植物においても、外部環境に対して有利に生き抜くデザインを行なっている。

アート(art)

自分のための営み。 他者の評価や社会的な意味づけを前提とせず、内発的な動機に基づいて、自らの感情や思考を表現する行為。本質的には「自己満足」や「自分との対話」のためにあり、社会貢献とは一線を画すものだが、結果的に他者や社会に強い影響を与えることもある。その営みが継続的に価値と見なされ、対価を生む場合、その人物は“職業アーティスト”として認知される。 両者は明確に線引きできるものではなく、しばしば重なり合い、混ざり合う。デザインもまた、最終的には自己満足のために行われることがあるし、「誰かを喜ばせる=自分の喜び」となる瞬間には、アートとデザインが溶け合っている。よって、これらの切り口は固定的な定義ではなく、思考の補助線として用いるべきものである。